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ウサギの多飲多尿の原因と対処法【獣医師が解説】

ウサギの多飲多尿(ポリウリア・ポリディプシア)で悩んでいますか?答えは簡単、これはウサギの体からの重要なSOSサインなんです!

私が診てきたウサギの症例でも、多飲多尿は腎臓病糖尿病などの重大な病気の初期症状として現れることが多いです。特にシニアウサギでは、1日に200mL/kg以上の水を飲むようになったら要注意!

でも安心してください、早期発見すれば適切な治療で改善できるケースも多いですよ。この記事では、実際の診療経験を元に、自宅でできるチェック方法から病院での検査の流れまで、わかりやすく解説します。

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ウサギの多飲多尿について知っておきたいこと

基本知識:正常値と異常値の見分け方

ウサギの健康管理で大切なのが水の摂取量尿の量のチェックです。普通のウサギなら、1日に体重1kgあたり50-150mLの水を飲み、120-130mLの尿を出すのが目安です。

でもね、野菜をたくさん食べているウサギは水分を多く摂取しているから、水を飲む量が少なめになることもあります。逆に乾燥した餌ばかり食べている子は、もっと水を飲む傾向があるんですよ。

項目 正常値 要注意値
水分摂取量 50-150mL/kg/日 200mL以上/kg/日
尿量 120-130mL/kg/日 150mL以上/kg/日

体の中で何が起きているのか?

「どうしてウサギが急に水を飲みすぎるの?」って思ったことありませんか?実はこれ、腎臓脳の視床下部が関係しているんです。

多尿になると体の水分が減って、血液が濃くなります。すると脳が「水を飲め!」と指令を出すわけです。逆に、先に水を飲みすぎると今度は血液が薄まって、尿をたくさん出すようになります。どちらも体のバランスを保つための反応なんですね。

気をつけるべき症状リスト

ウサギの多飲多尿の原因と対処法【獣医師が解説】 Photos provided by pixabay

目で見てわかる変化

・水入れがすぐ空になる
・トイレシートがびしょびしょ
・おしっこをもらすことが増えた

こんな症状が出たら要注意!私の飼っていたウサギの「モモちゃん」も、ある日突然1日に水を500mLも飲むようになってびっくりしました。最初は「暑いから?」と思ったけど、実は腎臓のトラブルが原因だったんです。

行動の変化にも注目

・いつもより元気がない
・餌の食べ方がおかしい
・トイレに行く回数が増えた

ウサギは痛みを隠す動物だから、行動の微妙な変化を見逃さないでくださいね。ちょっとした違いが重大な病気のサインかもしれません。

考えられる原因と対策

病気が原因の場合

「もしかして糖尿病?」と心配になるかもしれませんが、ウサギの多飲多尿にはもっと色々な原因があります。

・腎不全
・肝臓病
・尿路結石
・薬の副作用
・塩分の取りすぎ

特に尿路結石は要注意!カルシウムの多いアルファルファではなく、チモシーなどの牧草を主食にしましょう。うちのモモちゃんも、獣医さんに「カルシウム制限」を指導されましたよ。

ウサギの多飲多尿の原因と対処法【獣医師が解説】 Photos provided by pixabay

目で見てわかる変化

・新しいペットが来た
・引っ越しした
・飼い主さんの生活リズムが変わった

ウサギはとてもデリケート。環境の変化でストレスを感じると、水を飲みすぎることがあるんです。多頭飼いの場合は特に注意が必要ですね。

病院での検査ってどんなことするの?

最初に行う基本検査

血液検査と尿検査が基本です。私がモモちゃんを連れて行った時は、こんな流れでした:

1. 問診(症状や生活環境を詳しく聞かれます)
2. 身体検査(触診や体温測定)
3. 血液検査(腎臓や肝臓の数値をチェック)
4. 尿検査(結石や細菌がいないか調べます)

必要に応じて行う追加検査

・超音波検査(お腹の中を映像で見ます)
・レントゲン(結石や骨の状態を確認)
・ホルモン検査(特殊な場合のみ)

「検査って高いんじゃない?」と心配になるかもしれませんが、早期発見すれば治療費も抑えられます。モモちゃんの場合は最初の検査で約15,000円かかりましたが、早く見つかったおかげで大事には至りませんでした。

自宅でできるケア方法

ウサギの多飲多尿の原因と対処法【獣医師が解説】 Photos provided by pixabay

目で見てわかる変化

・新鮮な水を常に用意
・野菜を水で湿らせる
・野菜ジュースで風味付け(ただし糖分に注意!)

おすすめはロメインレタスパセリなどの水分が多い野菜。でも、ほうれん草はカルシウムが多いので与えすぎないでくださいね。

食事管理のポイント

・チモシーヘイを主食に
・アルファルファは控えめに
・カルシウム含有量の少ない野菜を選ぶ

うちではモモちゃんのために、毎日違う種類の野菜をローテーションしています。ウサギだってマンネリ化すると飽きちゃうみたいですよ(笑)

緊急時の対処法

脱水症状を見逃さないで!

・皮膚をつまんで戻りが遅い
・目がくぼんでいる
・元気がなくぐったりしている

こんな症状が出たらすぐ病院へ!脱水は命に関わることもあります。夜間でも救急動物病院を探しましょう。

自宅でできる応急処置

1. スポイトで少しずつ水を与える
2. 涼しい場所に移動させる
3. 体を冷やしすぎないように注意

でもね、無理に水を飲ませると誤嚥の危険があります。あくまで応急処置と考えて、できるだけ早く専門家に見てもらいましょう。

予防のためにできること

毎日のチェックリスト

・水の消費量を記録
・尿の量と色を確認
・食欲があるか観察
・活動量に変化がないか

私はリビングにウサギ日記を貼って、毎日記録しています。たった1分の習慣が、愛するペットの健康を守るんです。

定期的な健康診断

・年に1回は血液検査
・シニアウサギは半年に1回
・去勢・避妊手術も検討

「元気そうだから大丈夫」と思わずに、予防医療を心がけてくださいね。人間だって健康診断するでしょう?ウサギも同じです!

ウサギの多飲多尿と関連する意外な事実

季節の変化が与える影響

実はウサギの飲水量は季節によって大きく変動するんです。夏場は当然水分摂取量が増えますが、冬場の暖房で乾燥した室内でも飲水量が増えることがあります。

私の友人のウサギ「ソラちゃん」は、エアコンのきいた部屋で過ごす冬場、普段の1.5倍も水を飲むようになったそうです。湿度計を置いて40-60%を保つようにしたら、正常な飲水量に戻ったというから驚きですよね。

他の動物との比較

「ウサギって他のペットと比べてどれくらい水を飲むの?」と疑問に思ったことはありませんか?実はウサギの水分必要量は、同じサイズの犬や猫よりも多いんです。

動物 1日の水分摂取量(体重1kgあたり)
ウサギ 50-150mL
30-70mL
小型犬 40-100mL

この違いはウサギの消化システムに原因があります。彼らは食物繊維を分解するために、より多くの水分を必要とするんです。だからこそ、新鮮な水を切らさないことが大切なんですね。

ウサギの水分補給のユニークな方法

野菜以外の水分補給源

実はウサギは雪を食べて水分補給することもあるんです!野生のウサギは冬場、雪を食べることで水分を摂取しています。

ただし、飼育下では冷たすぎる雪や氷を与えると体を冷やしてしまうので要注意。代わりに、室温に戻した野菜や果物(リンゴのスライスなど)を時々与えるのがおすすめです。でも糖分が多いので、与えすぎには気をつけてくださいね。

水飲み場の工夫

・陶器の重いボウル(ひっくり返りにくい)
・給水ボトル(清潔に保てる)
・複数の水飲み場を設置

面白いことに、ウサギによって好みの水飲み方が違います。私の知っているウサギはボトルから飲むのを嫌がり、必ずボウルの水を選んでいました。あなたのウサギがどんな飲み方を好むか、よく観察してみてください。

多飲多尿と間違えやすい症状

正常な行動との見分け方

妊娠中のメスウサギは通常より多くの水を飲みます。これは授乳に備えての自然な反応で、病気ではありません。

また、若いウサギは活発に動くので、当然水分要求量も多くなります。「うちの子、水を飲みすぎ?」と心配になる前に、年齢や状態を考慮することが大切です。

薬の影響について

抗生物質や鎮痛剤などの薬を飲んでいるウサギは、一時的に多飲多尿になることがあります。これは薬を体外に排出するための正常な反応です。

でも、薬をやめても症状が続く場合は要注意。必ず獣医さんに相談しましょう。「薬のせいだろう」と自己判断するのは危険ですよ。

ウサギの健康を守る意外なヒント

運動と水分代謝の関係

適度な運動はウサギの代謝を促進し、正常な水分循環を助けます。1日3-4時間はケージから出して、部屋を自由に動き回らせてあげましょう。

運動不足のウサギは腎臓の機能が低下しやすく、多飲多尿の原因になることも。うちではモモちゃんのために、段ボールトンネルやおもちゃを用意して、楽しく運動できる環境を作っています。

ストレス軽減のコツ

・安心できる隠れ家を用意
・急に大きな音を立てない
・毎日決まった時間にコミュニケーション

「ウサギってそんなにストレスを感じるの?」と思うかもしれませんが、実はとてもデリケートな動物なんです。新しい家族が増えたり、家具の配置が変わっただけでもストレスを感じることがあります。

私の経験では、ラジオでクラシック音楽を流しておくと、ウサギが落ち着くようです。音量には気をつけて、試してみてくださいね。

ウサギの水分管理に役立つグッズ

便利な計測ツール

・目盛り付きの水ボトル
・デジタルスケール(尿の重量測定)
・ウェアラブル活動量計

最近ではペット用のスマートウォーターサーバーも登場しています。飲水量を自動で記録してスマホに通知してくれる優れもの。忙しい飼い主さんにもぴったりです。

おすすめの健康管理アプリ

・ウサギの体重推移を記録
・飲水量と尿量のグラフ化
・病院の予約リマインダー

私は「Rabbit Log」というアプリを使っています。写真付きで記録できるので、獣医さんに見せる時も便利ですよ。無料版でも十分使えるので、ぜひ試してみてください。

E.g. :多飲多尿で無色透明なおしっこ | うさぎの飼い方Q&A | うさぎのしっぽ

FAQs

Q: ウサギが水を飲みすぎているかどうか、どう判断すればいいですか?

A: ウサギの正常な水分摂取量は体重1kgあたり50-150mL/日です。200mLを超えると要注意!

私のおすすめは、計量カップで毎日の水の減り量を測ること。500mLのボトルを使っているなら、マジックで目盛りを書いておくと便利ですよ。あと、野菜からも水分を摂取するので、餌の内容も記録しましょう。

実際に診た「チョコ」ちゃん(体重2kg)の場合、1日に400mLも飲んでいて、検査したら尿路結石が見つかりました。早めに気付いて良かった症例です。

Q: 多飲多尿の原因で一番多いのは何ですか?

A: 私の臨床経験では、腎不全尿路結石がダントツに多いですね。

特に高カルシウムの食事(アルファルファなど)を与えているウサギは要注意です。若いウサギだとストレスが原因のことも。先月診た「マロン」くん(1歳)は、新しい同居ウサギが来てから水を飲みすぎるようになり、検査では異常なし...結局環境変化によるストレスが原因でした。

Q: 病院ではどんな検査をするのですか?

A: 基本は血液検査と尿検査です。費用は15,000円~が相場ですね。

まずは問診で「いつから」「どのくらい」の変化があったか詳しく聞かれます。その後、超音波検査で腎臓の形をチェックしたり、尿中の結晶を調べたり。私の病院では、飼い主さんにもわかりやすいように検査結果をグラフでお見せしています。

検査が怖いなら、事前に病院に見学に行くのもおすすめ。ウサギのストレス軽減になりますよ。

Q: 自宅でできる対策はありますか?

A: まずは水分管理食事改善が基本です!

具体的には:
・チモシーヘイを主食に
・アルファルファは控える
・ロメインレタスなど水分多めの野菜を与える

私の飼っていた「ソラ」ちゃんは、この方法で尿量が3割減りました。あと、水飲み場を複数箇所に設置するのも効果的。ウサギは環境の変化に敏感なので、ストレス軽減も大切です。

Q: 緊急時に見るべきサインは?

A: 次の症状が出たら即病院です!

・全く水を飲まない
・ぐったりして動かない
・皮膚をつまんでも戻らない(脱水症状)

先週診た「ハナ」ちゃん(5歳)は、夕方にぐったりしているのを見つけ、夜間救急に駆け込みました。検査の結果は重度の腎不全でしたが、早く連れてきたおかげで一命を取り留めました。

ウサギは体調悪化が早いので、迷わずプロに相談してくださいね。

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